B型肝炎訴訟の和解状況
全国で現在までに提訴した方の数が約3万人で和解して給付金を受給した方が約2万人で、そのうち全国B型肝炎訴訟原告団の和解成立は14,714人で和解手続中は5,297人(2016年5月19日現在)しかいません。
もともと、集団予防接種による感染被害者数は、基本合意当時の国・厚生労働省の推計では約45万人程度とされています。
しかしながら、提訴した方の数が約3万人で和解して給付金を受給した方は約2万人に留まっています。どうして、提訴者数が伸びないのでしょうか?ここでは、その要因を探ります。
現在までの提訴者数
全国B型肝炎訴訟原告団の地裁ごとの提訴者数と和解者数は何人でしょうか?
現在、全国B型肝炎訴訟原告団の提訴者数の合計は20,011人で和解者数の合計は14,714人(2016年5月19日現在)で、各地の地裁ごとの提訴者数と和解者数は以下の通りです。
地裁 | 原告数 | 和解者数 |
札幌 | 2,482人 | 1,917人 |
仙台 | 744人 | 420人 |
新潟 | 728人 | 568人 |
東京 | 3,630人 | 2,494人 |
長野 | 241人 | 169人 |
富山 | 23人 | 0人 |
静岡 | 420人 | 285人 |
名古屋 | 1,471人 | 1,118人 |
金沢 | 481人 | 368人 |
大阪 | 3,876人 | 3,082人 |
広島 | 2,392人 | 1,651人 |
松江 | 193人 | 148人 |
鳥取 | 383人 | 298人 |
福岡 | 2,143人 | 1,644人 |
大分 | 71人 | 13人 |
熊本 | 244人 | 166人 |
鹿児島 | 291人 | 216人 |
沖縄 | 198人 | 157人 |
合計 | 20,011人 | 14,714人 |
提訴者数が伸びない原因
提訴者数が伸びない原因は何が考えられるのでしょうか?
感染に気付いてない
提訴者数が伸びない原因の1つ目は、自身がB型肝炎に感染していることに気付かない人が多いことが考えられます。
現在、大企業や役所に勤める人には定期的な健康診断や人間ドックが実施されています。
したがって、検診の基礎とも言える血液検査は確実に行われますから、B型肝炎に感染していれば直ぐに判明します。
しかし、自営業者や専業主婦・中小零細企業勤務者やパート・アルバイトの方は、長期間、健康診断や人間ドックを受けていない人も多い筈です。
市区町村では定期的な無料の健康診断を実施していますので、年に1回は健康診断を受診する必要があると言えます。
B型肝炎給付金請求の制度を知らない
2つ目はB型肝炎給付金請求の制度を知らない人が多いということです。
仮に、自身がB型肝炎の感染者と知っている人でも、まだまだ、B型肝炎給付金請求の制度を知らない人は多いのです。
また、特に、B型肝炎を発症していないウイルスキャリアーの方は病気として認識していません。つまり、被害者意識が無いところに、損害賠償を請求しようという発想は起こらない筈です。
ところが、B型肝炎は感染から数十年後に発症することもある恐ろしい病気です。将来、発症してから給付金請求の制度を知っても、「時すでに遅し」になっているかもしれません。
自分は対象ではないという誤解
3つ目は感染や給付金請求の制度を知っていても、自分は対象ではないと誤解している人が多いことです。また、自分が給付金請求の対象になる筈が無いと諦めている人もいるかもしれません。
更に、ウイルス検査結果や医療記録などさまざまな資料の提出が必要であり、それらの資料収集の複雑さや困難さなどから請求を断念している方も多いのです。
したがって、今後、B型肝炎ウイルス検査や給付金請求の制度の周知を徹底することと、和解に至るための手続きにおいて形式的・画一的ではない対応・運用が必要であることを国・厚生労働省に訴えていく必要があります。
更に、そもそも、提訴して和解するという手続そのものを改め、患者被害者と厚生労働省が直接交渉できるようにすることも必要です。
B型肝炎訴訟の提訴期限
B型肝炎の患者被害者にとっての提訴期限はいつまででしょうか?
従来の「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が改正され、本年8月1日より「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律」が施行となり、給付金の請求期限は5年延長され2022年1月12日までに改正されました。
また、給付金の支給対象を拡大して、死亡又は発症後提訴までに20年を経過した死亡・肝癌・肝硬変の患者に対する給付金の金額が新たに盛り込まれました。
もう1つは除斥期間の問題です。
一般的に損害賠償請求訴訟のような民事訴訟では20年が除斥期間で、20年を過ぎると損害賠償請求の権利が無くなります。
この除斥期間について、B型肝炎訴訟では除斥期間の起算点は無症候性キャリアの患者と肝炎を発症した患者で異なります。
無症候性キャリアの患者は集団予防接種等を受けた日が起算点であり、肝炎を発症した患者は発症した日が起算点となります。
したがって、上記の2つの提訴期限を念頭に患者被害者は提訴しなければなりません。
いずれにしても、提訴期限などについては、全国B型肝炎訴訟原告団や各弁護士事務所に相談することをお奨めいたします。
おすすめB型肝炎訴訟弁護士ランキング
ベリーベスト法律事務所
弁護団に加盟している弁護士事務所ではありませんが、B型肝炎訴訟の実績は非常に多い事務所です。相談から調査、着手してもらうところまで無料で、スムーズに進めてもらうことができました。よくわからない場合には給付金診断チェックをしてもらい、まずは提訴できるのかどうかを調べてもらってください。
弁護士費用 | 実質負担・給付金額の10%+5万円 |
2016/07/01