B型肝炎ウイルスの感染経路

B型肝炎ウイルスの感染経路、感染するケースとしないケース、国の対策などについて書いています。おどかすわけではありませんが、「B型肝炎ウイルス感染者ではない」と言い切れる人は少ないです。今一度、感染経路やパターンを把握し、自分自身に置き換えてみてください。

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年間約2万人増加しているB型肝炎ウイルスの感染経路は?

B型肝炎ウイルスは血液と体液を媒体として感染します。

母子感染と性的感染

特に、B型肝炎ウイルスはC型肝炎ウイルスと比べて血液中の濃度が1,000倍以上も高いので、感染力が遥かに高いことが知られています。B型肝炎ウイルスは感染した母親から出産時に産道通過中に生じる擦過傷から母子感染しますし、感染者との性的接触によっても感染します。

一方、C型肝炎ウイルスも血液を媒体として感染するのは同じですが、感染力の弱いC型肝炎ウイルスは母子感染や性的感染は非常に少ないと言われています。研究者によってはC型肝炎ウイルスは母子感染と性的感染は無いという人もいるほどです。

ですので、歴史的に考えるとB型肝炎ウイルスもC型肝炎ウイルスも有史以前から地球上に存在していた筈ですが、B型肝炎ウイルスは母子感染と性的感染で人から人へと伝染してきたと考えられます。

その後、近代に入り輸血や注射などが普及してからは医療行為によっても感染が広がったということになります。

また、C型肝炎ウイルスは近代医学が普及してから急速に世界に広まった新しい肝炎ウイルスということができます。その結果、世界中で現在、約3億5千万人がB型肝炎ウイルスに持続感染し約1億7千万人がC型肝炎ウイルスに持続感染していると推定されています。

日本に於いては厚生労働省の推計で、B型肝炎の感染者数は約110万人~140万人で患者数は約7万人に上り、C型肝炎の感染者数は約190万人~230万人で患者数は約37万人とのことです。

ちなみに、B型肝炎ウイルスの病原体の発見は1968(S43) 年で、検査方法 の確立は1970(S45)年、献血時の検査開始は1972(S47)年。

C型肝炎ウイルスの病原体の発見は1988(S63) 年で、検査方法 の確立は1989(H元)年、献血時の検査開始は1989(H元)年です。

また、2002年4月から40歳以上を対象に5年ごとに行われる節目検診で、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルス感染を見つけだす検査が始まっているとのこと。

従って、1970年からはB型肝炎ウイルスは医療行為によっての感染は殆ど無くなり、1972年からは献血された血液からの感染も殆ど無くなったと考えられています。

入れ墨や麻薬注射・格闘技でも感染

一方、近年、B型肝炎ウイルスに汚染された針を使った入れ墨や、麻薬の静脈注射や同じ注射器と針を使った麻薬注射の回し打ちなどからの感染が増えています。

また、不特定多数の異性または同性との性的接触や、ボクシングやK1などの激しいスポーツの肉体的接触による出血や外傷を介してB型肝炎ウイルスに感染する危険があります。

つまり、現在は一部の発展途上国を除き医療行為によるB型肝炎ウイルス感染は無くなっていると言えます。

特に、1970年以降は医療行為や献血された血液からの感染は殆ど無くなったと考えられます。

1985年からは厚生労働省によりB型肝炎母子感染防止事業が行われており、1985年以降に出生する乳幼児について母子感染することは基本的に考えられないからです。

従って、個人個人が正確かつ具体的な知識を持つことで感染は完全に防げる筈。

そのため以下で日常の生活の中で、B型肝炎ウイルスに感染するケースと感染しないケースを具体的に見ていきます。

 

B型肝炎ウイルスに感染するケースと感染しないケース

今でもB型肝炎ウイルスの感染者は年間約2万人増加しているのが現実。

その殆どは不特定多数の異性または同性との性的接触や汚染された針を使った入れ墨や麻薬注射の回し打ちなどからの感染です。

従って、特に、以下の具体的なケースについて正確な知識を持つことが必要になってきます。

①キスで感染するのか?

一般的にはキスでは感染しないと言われていますが、ディープキスでは感染の可能性があると言えます。

厳密に調べるとキャリアーの唾液の中にも微量のウイルスが検出されることがあるからです。また、オーラルセックスでは感染する可能性がより高いと言われています。

オーラルセックスでは精液や膣液に接触する可能性が高い訳ですが、キャリアーの精液や膣液には血液と同程度のウイルスが存在しているからです。

②性行為で感染するのか?

感染する可能性が高いと考えられます。精液や膣液などの体液にはB型肝炎ウイルスが含まれており性行為によって粘膜から感染します。

③血のついた髭剃りや歯ブラシ・刺青・ピアスの道具から感染するのか?

キャリアーの血液が付着した髭剃りや歯ブラシ・刺青・ピアスの道具を使用すると感染する可能性があります。

④食器の使い回しや同じお風呂やサウナで感染するのか?

お箸・お皿・コップなどを使い回ししても感染することは殆どありませんし、同じお風呂やサウナで感染することも殆どありません。

⑤感染者を刺した蚊に刺された場合はどうなるのか?

日本脳炎・デング熱・マラリアなどは蚊に刺されて感染が広がります。

これらのウイルスは蚊の体内で増殖しますので、刺されると感染するだけのウイルス量になる場合がありますが、B型肝炎やC型肝炎やHIVウイルスは蚊の体内で増殖しませんので蚊に刺されて感染することは殆ど無いと考えられています。

⑥血液や体液が手についた場合はどうなるのか?

健康な人の皮膚からB型肝炎ウイルスが侵入して感染することはありませんが、手に傷や炎症などがある場合はそこから感染する可能性はあります。

万が一キャリアーの血液や体液に触れた場合は、すぐに手を洗い消毒することが必要です。稀に医療現場で看護師がキャリアーから採血した時に、誤って自分の手に針を刺して感染することがあります。

針が皮膚を突き破り粘膜に達するとウイルスに感染してしまいます。

 

我が国のB型肝炎感染防止対策

世界的に見るとB型肝炎感染防止対策は相当前から行われていました。

例えば、1940年代にはイギリス保健省は血清肝炎(B型肝炎)の感染と注射器の関係に気付いています。その後、イギリス保健省は注射針や筒の使い回しや滅菌方法の見直しの必要性を示唆しました。

また、1953年にWHOが血清肝炎(B型肝炎)の感染力の強さを指摘し針だけではなく筒の感染の問題を提起しました。そして、集団予防接種での注射器や筒の使い回しが血清肝炎(B型肝炎)の感染を引き起こすと警告しています。

一方、国内では1948年に以下の指摘がなされた記録が残っています。

  • 血清肝炎(B型肝炎)は注射器により伝染する
  • 注射器と針が危険である

そこで、国は種痘・予防接種の接種方法について被接種者一人ごとに種痘針・注射器を消毒することを指示しています。

しかし、徹底されなかったため、現場で実行されることはありませんでした。この時点で国による指示が徹底されていれば国内で集団予防接種による大規模な感染は起こらなかった筈で、当時の厚生省の官僚の実行力の無さが際立ちます。

その後、1958年に至り注射針を被接種者一人ごとに取り換えることを国が義務付けしました、

この時も罰則やチェック体制などを設けなかったため現場では周知徹底されず結局、実行されませんでした。そして、それから30年後の1988年1月になり、やっと、国は以下の指示を出し現場で実行されるようになりました。

「予防接種における注射器の被接種者ごとの取り替えとツベルクリン反応検査での注射針・筒の取り替え」

つまり、逆に言えば少なくとも国は1948年の段階でB型肝炎が注射器の使い回しなどにより伝染することを知りながら、実際に現場で実行されたのは1988年になってからだったとうことです。

一体、その40年間に何十万人の人が集団予防接種によりB型肝炎ウイルスに感染したのでしょうか?

 

後にこれらの記録が2011年6月28日の菅直人首相の以下の謝罪に繋がっています。

「拡大を防ぐ努力が結果として十分でなかった。国を代表して心からおわびする」菅直人首相

更に、2012年1月13日に「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が成立し、救済が遅ればせながら始まったのです。

 

同じキャリアーでも一過性感染と持続感染がある複雑なB型肝炎という病気

もともと、B型肝炎ウイルス自体に毒性があって肝炎を引き起こしている訳ではないことは既に述べました。

B型肝炎ウイルスに感染した細胞を免疫機能が異物と判断することで攻撃し、免疫機能の攻撃により肝細胞に炎症が起こると考えられています。

従って、B型肝炎は免疫機能の発達と密接な関係を持っています。

母子感染の場合

例えば、出産時の母子感染や乳幼児期に感染した場合は免疫機能が未熟なため免疫機能が異物と判断しません。ですので、免疫機能の攻撃により肝細胞に炎症が起こることは無い訳ですね。

しかし、ウイルスを排除することができないので持続感染者(キャリア)となってしまいます。

その後、持続感染者が思春期から30歳頃になると免疫機能が発達するため、免疫細胞がウイルスを排除しようと働き始めます。その結果、免疫機能の攻撃により肝細胞に炎症が起こりB型肝炎発症となります。

多くの場合は肝炎の症状は軽く1週間程度の入院で済む場合が多いですが、10~20%の人は慢性肝炎へと進行しその中から肝硬変・肝ガンを発症する人も出てきます。

思春期以降に感染した場合

一方、思春期以降にB型肝炎ウイルスに感染した場合には多くの場合は一過性感染で終わります。免疫機能が発達した成人の場合、B型肝炎ウイルスに感染しても免疫機能がウイルスを排除するからです。

但し、10%~20%程度の人は急性B型肝炎を発症し重症化する場合があります。

ウイルスに感染した肝細胞を免疫機能が激しく攻撃して、結果、多くの肝細胞が死滅するからです。稀には急激に症状が悪化して劇症肝炎を発症し死亡する例もあります。

つまり、成人の場合は感染しても多くの場合は発症せずに一過性感染で終わりますが、一部の人は発症し急激に進行して死に至ることもあるのです。

また、死に至ることはなくとも、そのうち10%は慢性肝炎に移行するとの報告もあります。

B型肝炎ウイルスのステルス性

もう1つはB型肝炎ウイルスのステルス性です。B型肝炎ウイルスの80%程度のキャリアーは発症することなく過ぎていきます。

しかし、中年以降に掛かる病気の影響やそれらによる投薬により、免疫機能が影響を受ける場合があります。そのような隙を突いて肝細胞に潜んでいたB型肝炎ウイルスが活動を開始することが稀にあります。

従って、B型肝炎ウイルスのキャリアーで長く発症していない場合でも注意が必要です。特に、免疫機能が低下する病気の場合などは、医師にB型肝炎ウイルスのキャリアーであることを告げた方が良いのです。

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      2016/05/09

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