B型肝炎訴訟の対象者は?

B型肝炎という病気についてはこれまで少しずつ触れてきましたが、では、「B型肝炎訴訟の対象者」はいったい誰なのでしょう?具体的には、今年(2016年)に28歳から75歳の人達です。詳しく書いていきます。少し前置きが長くなりますので対象者をすぐに知りたい方はこちらへどうぞ

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過去の集団予防接種でB型肝炎に感染した人は国の補償を受けられる

前項で述べました様に国・厚生省は1948年の段階で、B型肝炎が注射器の使い回しなどにより伝染することを知りながら必要な対策を怠っていました。

当時の厚生省の官僚はB型肝炎が注射器と針の使い回しにより伝染することを認識し、「一応」、種痘・予防接種の接種方法について被接種者一人一人の種痘針・注射器を消毒することを指示しています。

しかしながら、この指示は現場に徹底されず厚生省の官僚は現場で実行されていないことを知りながら以後、1988年まで40年に渡り不作為を決め込み対策を放置したのです。

40年という歳月は1人の厚生官僚が入省してから退職するまでの期間に相当します。また、この間、毎年に渡り新たに新任の厚生官僚が入省していた訳です。

これらの全ての厚生官僚が同じ過ちを犯し続けた背景には、官僚の無責任体質と決して責任を問われない構造腐敗があると言えます。その結果、40年間におよそ40万人~47万人の人が、集団予防接種によりB型肝炎ウイルスに感染し今も苦しんでいるのです。

初めて国家賠償を求めたのは1989年

これらを踏まえて、1989年に札幌市の5人のB型肝炎感染者が札幌地裁に国家賠償を求めて初めて提訴し、その後、多くのB型肝炎感染者が5人に続き同様の提訴を行いました。

そして、最初の5人の原告の主張が最高裁判所で認められたのは2006年6月になってからで、5人の原告が札幌地裁に提訴してから17年の歳月を要した始末。

この間、1996年に「薬害エイズ」問題で当時の厚生大臣の菅直人大臣が原告団に謝罪しました。

国の責任を認める元厚生省生物製剤課長だった郡司氏の「郡司ファイル」が発見されたからです。この厚生大臣の謝罪により「薬害エイズ」問題は解決に向かったと言えます。

薬害肝炎救済法成立から特措法へ

また、C型肝炎訴訟が「薬害肝炎訴訟」として2002年に集団訴訟が起こされ、B型肝炎訴訟に先駆けて2008年に「薬害肝炎救済法」が成立しています。

これらの薬害と厚生省の不作為体質に対する大きな世論の波が「B型肝炎訴訟」を後押しし、2011年6月28日の菅直人首相の謝罪に繋がり2012年1月13日の「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」の成立に繋がったと言えます。

現在、野党民進党に籍を置く菅直人氏は総理大臣時代の評判は芳しくありませんが、唯一、「薬害エイズ」と「B型肝炎訴訟」などの薬害問題に関しては、日本の薬害問題史に大きな功績を残したと言えるのではないでしょうか。

B型肝炎ウイルスは集団予防接種の注射器や針の使い回しで拡散した

小学校の保健室や体育館で集団予防接種を受けた記憶のある方も多いと思いますが、我が国では明治維新直後の1874年に「種痘規則」が制定され初めて集団予防接種が始まりました。

その後、1876年の「天然痘予防規則」により罰則を伴う強制的な集団予防接種が政府により実施され始めました。明治政府は「富国強兵」の一環として伝染病の撲滅のために集団予防接種を取り入れ、昭和に掛けてはコレラ・チフス・インフルエンザ・ジフテリアなどの予防接種が実施されました。

また、戦後に於いてはGHQの占領政策の下で1948年に「予防接種法」が制定され予防接種は国民の義務となりました。対象疾病は種痘・ジフテリア・腸チフス・パラチフス・百日咳・結核・発疹チフス・ペスト・コレラ・しょう紅熱・インフルエンザなどなど。

更に、1951年に「結核予防法」が制定され結核対策としてツベルクリン反応検査とBCG検査が実施されました。ツベルクリン反応検査とBCG検査は中高年の方には馴染が深い予防接種ですね。

これらの予防接種については接種時期や接種場所などの細則が決められ、生後3ヶ月から小学校卒業前までに各種の集団予防接種が地域や学校を通して強制的に実施されたのです。

そして、小学校や保健所などの指定された場所に強制的に集合させられた児童生徒や住民に対して、当時は少なくとも4人~5人で1本の注射針や注射筒が使用されたことが一部の記録に残っています。

また、以下の様な1949年の厚生省告示の記録が残っています。

「注射針は注射を受ける者ごとに固く絞ったアルコール綿でよく払拭し、1本の注射筒のツベルクリンが使用されつくされるまでこの操作を繰り返してよい」

つまり、1本の注射筒のツベルクリンを複数の人のツベルクリン反応検査に使うことを厚生省が奨励していたことになり、この操作によりB型肝炎ウイルスに感染する人が増えたのではないでしょうか。

現実的には母子感染によりキャリアーだった生徒と、同じ注射針や筒を使用した生徒がB型肝炎ウイルスに感染したと考えられます。既に、当時の厚生省は1948年の段階でB型肝炎が注射器の使い回しなどにより伝染することを知っていた訳ですが、不作為だけではなく現場には相反する指示を出していたことになります。

この様な厚生省の不作為と無責任な対応が改められたのは1988年になってからです。

やっと、1988年の厚生省通達で一人の被験者毎に注射針や注射筒を取り替えることを定めたのです。つまり、1988年の厚生省通達により、厚生省はこれまでの対応が不十分であったことを暗に認めた訳ですね。

この様な経緯で厚生省と厚生官僚による不作為と無責任な対応の責任を最高裁が認め、集団予防接種によるB型肝炎集団感染問題は国による補償が確定しました。

しかしながら、当時の菅直人首相の謝罪があっただけで当時の厚生官僚の責任が問われることはありませんし、司法上の責任は問えないとしても当時の責任者と責任の構図が深い闇の中から明らかにされることはないでしょう。

「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」の補償内容

前項の経緯により「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が2012年1月13日に成立しました。

このいわゆる「B型肝炎特別措置法」は

  1. 集団予防接種によりB型肝炎に感染した患者に給付金等を支給すること
  2. 給付金の財源を担保すること

を2大目的としています。

2011年6月28日に当時の菅直人首相は国の責任を認め被害者に謝罪し「基本合意書」を締結しました。この中で菅直人首相は国の責任を認め被害者に謝罪した上で内容の誠実な実施を約束しています。

しかしながら、「基本合意書」の中には、国はB型肝炎ウイルス感染者全員を救済するとは一言も書いていません。あくまでも裁判で和解が成立した原告に対して給付金を支払うと約束しているに過ぎません。

従って、現在に至っても国に対して損害賠償訴訟を提訴し裁判で和解が成立しなければ、患者は給付金を手にすることは叶いません。当然、損害賠償訴訟を提訴し裁判で和解を勝ち取るには長い年月を要しますし、そもそも、提訴するまでの裁判資料や各種証拠を揃えるだけでも患者にとっては大きな負担なのです。

特に、B型肝炎由来の肝硬変や肝細胞癌を抱える患者にとっては、訴訟が和解する前に命が尽きてしまう人も少なくないのです。これまでの国や厚生省の不作為や無責任な対応を少しでも反省する気持ちがあるならば、この様な対応を続けることはできないのではないでしょうか。

2012年にいわゆる「B型肝炎特別措置法」を制定する時点で厚生労働省が試算した数字は、給付金の対象に成り得る感染者は約45万人で給付金は30年間で最大3兆2,000億円に上ると試算しました。

以下「B型肝炎特別措置法」の内容を抜粋します。

「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」(2012年1月13日成立)

対象:7歳までの間に集団予防接種の際の注射器などの連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染した人(及びその人から母子感染した人とそれらの相続人)

対象になる集団予防接種:集団予防接種が開始された1948年7月1日~1988年1月27日の期間に限定(1988年1月27日からは厚生労働省の指導により集団予防接種による注射器などの使い回しは行われていない)(1986年からは母子感染予防も徹底されている)

給付金の支給方法:確定判決か和解調停書等を社会保険診療報酬支払基金に請求すれば支払われる

支給額:50万円~3,600万円

 

補償の対象者は感染者のうちで今年28歳から75歳の人

上記の通り「B型肝炎特別措置法」では対象者を

1948年7月1日~1988年1月27日の期間に、集団予防接種で注射器などの連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染した人

と規定しています。

戦後、集団予防接種が開始されたのは1948年7月1日であることと、1988年1月27日からは厚生労働省の指導により集団予防接種による注射器などの使い回しは行われていないからです。

しかも、7歳までの間に集団予防接種で注射器などの連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染した人と規定しています。何故なら、7歳以降は免疫機能が備わりB型肝炎ウイルスに感染する可能性が大きく下がるからです。

従って、これらを総合的に勘案すると対象者は、1948年7月2日から1988年1月27日に生まれた人になります。勿論、これ以外にも多くの条件や各種証拠を揃え国に対して提訴することが条件になります。

しかし、少なくとも今年28歳から75歳の人で、B型肝炎ウイルスに感染している人は補償の対象になる可能性があります。また、少なくとも今年28歳から75歳の人で、B型肝炎ウイルスに感染しているか否か不明の人は早急に血液検査をしてみては如何でしょうか。

2016年現在、28~75歳の人でB型肝炎に感染しているかわからない人は対象者

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      2016/05/10

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